2021年8月6日 2021年11月19日
人はどういう心理的状況の時に「~したい」って思うんだろう?
どういう時にお金を払ってでも「ものを買いたい」って思うんだろう?
と最近よく考えてます。
そんな中、ふとあるCMが目に留まりました。
「行動経済学による健康でいたくなる保険」と謳ってる保険のCM。(バナナマンが出てるやつ)
行動経済学を学べば自分の疑問が晴れるのかなあと思い、この本を手に取りました。
ってことで、今回はハワード・S・ダンフォードさん著「行動経済学入門」を感想を交えてご紹介していきます!
こんな人にオススメ!
・行動経済学の基礎を学びたい人
・心理学を絡めた経済の話に興味ある人
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今回ご紹介する「行動経済学入門」はKindle Unlimitedで無料で読めちゃいます!(※)
私も実際にスマホからKindle Unlimitedを利用して無料で読みました。
他にも常時200万冊以上が読み放題なので、気になる方はまず30日間無料で試してみてはいかがでしょうか?
※無料で読める期間が終了する場合もあるので、あらかじめご了承ください。
「行動経済学入門」ってどんな本?
例えばすっきりと晴れた日曜日。
なんだか自分の気持ちも晴れ晴れして、どこかに出かけたくなりませんか?
「天気一つで左右されない」なんて人もいると思いますが、天気が良い日は天気が悪い日よりも株価が上がるとも言われています。
つまり天気で人の気分が変わって、それが経済に影響してきます。
これは伝統的な経済理論では説明できず、例外中の例外。
この例外、いわゆるアノマリーに注目したのが「行動経済学」です。
従来の経済学では、人間は合理的な存在(ホモ・エコノミカス)だと考えられてきました。
一方、「人間は限定的に合理的な存在」だと考えるのが行動経済学です。
この行動経済学の特徴は、心理学の知見を使いながら、今までにはなかった経済理論を構築するところ。
本書ではそんな行動経済学の基礎知識や、実際に社会で応用されている手法などが盛り込まれています。
実験データを基にしているので信用性があり、図や問いかけなど、分かりやすくかつ読者に飽きさせない工夫がされているので、読みやすいかと!
「行動経済学入門」の感想レビュー
直感的判断は間違いやすい?
突然ですがみなさんは信号が青になったら当然、横断歩道を渡りますよね?
毎回決まっている判断の場合、私たち人間は「ヒューリスティクス」を用いて思考しています。
ヒューリスティクス
直感や直感的判断のこと。
しかしヒューリスティクスは、高い頻度で間違った答えを出してしまうもの・・・。
この間違いを修正できない場合は、不合理な選択をしてしまうのです。
ここではヒューリスティクスによって安易な間違いを引き起こす現象を2つピックアップ!
その割引価格って本当にお得?
スーパーや百貨店の通常価格に✖が書いてあって、その上に割引価格が表示されてる光景をよく目にしますよね。
ほとんどの人がお得だと考えてしまうと思います。
でもそれって実はお店側が「アンカリング効果」を上手く利用してるんです。
アンカリング効果
意思決定がアンカーに引っ張られる現象で、不適切な判断の原因。
アンカリングは碇を下ろすこと。つまり意思決定を行う際の基準を決めることです。
私たち人間は、意思決定をするときに様々なアンカーに引っ張られやすいようです。
私もスーパーで食料品を買うときや、ネットで買い物するときによくあります。
特に50,000円以上するものが割引されて34,000円とかになってると、「え!お得!」とか思ってポチっとしてしまいそうになります笑
通常価格ほんとに合ってるのかなあと思ってメーカーのサイトに行っても、オープン価格としか書かれてない時とかあって、ほんとに通常価格が合ってるのかわからない時もありますよね~(;'∀')
それ、本当に自分の判断?
いつもはあんまりお菓子食べないのに、今日はなぜかコンビニでお菓子を買ってしまったなんてことありませんか?
それ、実は昨日見たテレビのCMが関係してるかもしれません。
プライミング効果
あらかじめ見聞したことに、無意識のうちに影響を受ける現象のこと。
あらかじめ見聞したことが下地(プライム)になって、行動に影響を及ぼすためこのように呼ばれています。
プライミング効果は、前述で紹介したアンカリング効果との関連が非常に深いそうです。
自分では独自の意思で判断していると思っていても、案外何かに操作されている可能性は排除できません(怖)
ちなみに人や物事の第一印象が長く記憶に残りやすいのは、「初頭効果(プライマシー効果)」の影響だそう!
行動経済学の基礎、プロスペクト理論
プロスペクト理論
人間が不確実性の中でどのような予測を立てて、いかに行動するのかを説明している。行動経済学の基礎となる理論。
プロスペクト理論は、同じ規模の利得と損失を比較すると損失の方が重大に見える「価値関数」と、発生する確率によって人はリスク回避的にもリスク志向的にもなる「確率加重関数」によって成り立っています。
ここではそんなプロスペクト理論を使って説明できる、人間の思考の傾向を3つピックアップ!
多分自分に当てはまりすぎて笑えてくると思います笑
自分の持ち物は高く見積もりすぎ?
メルカリやヤフオクで自分が今まで大切にしてきたモノを売るときって、値段はどうやって決めてますか?
もしかして相場より高く出品してませんか?
それ、無意識に「保有効果」が働いてるかもしれません。
保有効果
自分が所有しているモノの価値を高く見積もる傾向のこと。
モノだけでなく権力や利権、地位、社会や組織の制度などにも保有効果が見られるそうです。
ついつい「自分がいいと思うものは他人もいいと思う」と考えがちですよね。
私も以前ヤフオクやってたときに、「これは価値がある!」と思って高く見積もって出品したモノはなかなか売れず。
逆に1回も使ったことがなく愛着もないモノを低く見積もって出品したら、めちゃくちゃ入札されて高値がついたことがあります笑
人間は現状維持を好む?
転職しようとずっと思ってるけどなかなか一歩先に進めない、なんてことありませんか?
それ、「現状維持バイアス」が働いちゃってるかも。
現状維持バイアス
現状維持を好む傾向のこと。
将来って不確実で、自分が決めた道ややり方が成功するか失敗するかは知る術がないですよね。
100の損失リスクを取ったからといって、必ずしも150から250の利得を確保できるとは限りません。
結果、新たな一歩を踏み出さずに現状維持を好む傾向が強まってしまうのです。
「明日からがんばろう!」と決意しても、結局何もできないのって現状維持バイアスが働いてるのかもしれませんね( ;∀;)
逆にすぐに新しいことにチャレンジできる人の性質を知れば、現状維持バイアスを回避できるかも?
1つの商品に数種類のおまけがつく理由って?
よくテレビショッピングを見ていると、1つの商品に対して2、3種類のおまけをつけてますよね。
あなたが「え!この金額でこんなにたくさんオマケつくの?お得~!」と思ったら最後、まんまとテレビショッピングの戦略にハマってます。
実は顧客の満足度でいうと、最初からまとめられているセットで買うより、メインの商品におまけがいくつかついている方が高いのです。
利得はまとめるよりもばらしたほうがお得感があるように感じるといった、人間の性質を利用してるのです。
逆に損失の場合は、ばらしたものよりまとめたほうがダメージが少ないと感じる傾向があります。
大きな買い物に小さな買い物を混ぜると、小さな買い物も気にならなくなるのはこのせいです。
確かに最初からセットで販売するよりも、後出しで「これもおまけ!これもおまけにつけちゃう!」て言われた方がなんだかお得感がありますよね。
韓国のフェイスパックなんかもよく「1 +1」って売り方してますが、最初からまとめて売るよりも「もう1つ商品つけますよ〜」て言われた方がお得感や満足感が高いからかもしれませんね!
表現の仕方によって人の反応は劇的に変わる!
同じことを表現するにも右側から見て表現する方法もあれば、左側や上下から見るやり方もあります。当然、見方が異なるから表現内容も変わる。
言い方を変えると、「フレーミング」によって相手の反応が劇的に変わるのです。
フレーミング
表現の仕方、問題や質問の提示の仕方のこと。
ここではフレーミングによって変わる人の判断の傾向について、3つピックアップしていきます!
その比較対象はおとりかもしれない?
不動産屋では物件を紹介する場合、ボロ屋を入れておくことがあります。
このボロ屋、実は「おとり」なんです。
顧客にボロ屋を見せておくことで、他の物件を良く見せて契約率を上げる作戦なのです。
また旅行会社では顧客がどのパッケージプランにするか迷っているとき、別のプランを見せてきます。
この別のプランは値段は先に見たパッケージより若干安いけど、日数や宿泊するホテル、オプションの面で明らかに劣っています。
これは劣っているプランを見せることで、最初に提示されたプランを選ばせる作戦なのです。
この2つの例から、比較対象を出すことで人の行動が変わる傾向にあることが分かります。
私もこの「おとり作戦」にやられそうになりました。
先日、美顔器が欲しいなぁと思っていろいろネットで見てたんですね。で、いいなぁと思った美顔器は新商品で80,000円くらいしたんです。
「さすがに80,000円はなぁ」て思ってた矢先、同じブランドの美顔器が「コチラもオススメ!」的な感じで表示されたんですね。
機能は新商品に比べてそこまで劣らず、値段は半分以下だったんです。まんまと買いそうになったよね笑
値段が新商品の半分以下でも40,000円弱はするわけで、今思うと比較対象を用意することで既存の美顔器も購入率を上げようとしていたのかもしれません。
人は「~限定」に弱い?
よく「1日200個限定」だったり、「8/31までの期間限定」だったり、街中やネットでなにかと「限定」という言葉を目にしますよね。
このほとんどがわざと数量を減らしたり期間を短くして、希少価値のある商品としてフレーミングしてるんです。
ちなみに100均の店頭で、皿やコップをわざと少量だけディスプレイする手法もフレーミング手法。
顧客は「品切れ間近=売れ筋の商品」と考えるので、少なくディスプレイすることによって不思議と売れるそう。
私も新しくお皿やコップを買うときに、このデザインのが欲しいといった希望がないまま買いに行くと、ディスプレイが少ない商品を選びがちです。
「これが人気なんだーじゃあ自分もこれにしよう」と考えてしまうんですよね~。
時間限定の手法にもよく引っかかってます笑
Kindleで気になってる漫画の1巻を試しに買うと、画面下のほうに「10分間限定で2巻から5巻まとめて買うと〇円で買えますよ」って特別オファーが出ることがたまにあるんですけど、まんまと買ってしまいますね笑
「無料」は魔法の言葉?
ネットショッピングで使える500円の無料券と、7割引き1000円券、どちらかすぐに選べと言われたらどちらを選びますか?
多くの人が500円の無料券を選ぶ傾向にあるようです。
でも例えば1000円の買い物をした時に、500円の無料券なら実費は500円ですが、7割引きのクーポンを使えば実費は300円ですみます。
冷静に考えればどちらがお得か分かることなのに、多くの人が「無料」という言葉に惹かれて「フリー」の手法に惑わされてしまうのです。
フリー
無料をうたい文句にしたセールス手法。
スマホの端末代を無料にして、月の利用料で稼ぐという手法もフリーの1種。無料でサイトを公開して広告料で稼ぐのもフリーの1種なんだとか。
私は今年の4月に楽天モバイルに変えたんですけど、まさに楽天モバイルはフリーの1種ですね。端末代はポイントで相殺するけど(つまり無料)、2年目からの通信料は発生するという仕組み。
それでも1年は通信料無料だし、何なら2年目からも1ギガ以下は無料だし、やっぱりお得だと思いますけどねえ~(*'ω'*)
おわりに
いかがでしたか? ・保有効果がなぜ生じるのか
私はこの本を読み終わって、「人間の脳って簡単にダマされるんだな、単純だな」と感じた反面、時には合理的ではない行動も取ってしまうため「複雑だな」とも感じました笑
本書では今回ご紹介したもの以外にも
・ギャンブル直後の幸福度の比較について
・なぜ日本は変われないのか
・確率によって人の態度が変化する話(確率加重関数)
・損失回避性について
・時間割引率について
・人はなぜ計画を先送りにしてしまうのか
・メンタル・アカウンティングについて
など、ここに書き出した以外にも行動経済学の考え方の基本がたくさん詰まっています!
心理学を絡めた話や読者への問いかけ、分かりやすい図解を使って説明されているので、「勉強は苦手だけど行動経済学に興味がある」って人はぜひ読んでみてはいかがでしょうか?
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