2021年5月19日 2021年11月19日
こんにちは！MINACHAYAのミナです。
前回に引き続き「不滅のあなたへ」8巻のあらすじや見どころ、感想をご紹介していきます！
前回、ピオランの死後にフシは４０年もの間ひとりで生きていたことが発覚しました。それはこれ以上、誰かが死ぬ姿を見たくなかったから。しかしその後、トナリやサンデルと再会してフシの気持ちは変わっていきます。
カハク率いる守護団と共に行動することになったフシは、ある日ウラリス国の王子"ボン"に捕らえられてしまいます。
不滅のあなたへ７巻
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『不滅のあなたへ』7巻【ネタバレ有】"視える"王子・ボンとの出会いがフシにもたらすものとは？
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捕らえられたフシはどうなってしまうのか？ボンはフシに"周りの古い友人達"の存在を教えるのか？
早速８巻を見ていきましょう！
ネタバレ注意です。
目次
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「不滅のあなたへ」8巻【ネタバレ有】見どころと感想
好かれる理由
ウラリスに到着したボンとフシたち。国民たちはボンの帰りを大歓迎します。
二人の歓迎パーティーを開くボンとその家族。どうやらフシやカハクを閉じ込めるわけではないようです。
一方フシはここから早く出なければと考えていました。一箇所に留まるとノッカーが来る可能性があるからです。
何回か脱出を試みるフシでしたが、何故かすぐにボンに見つかり阻止されてしまいます。
そんな中、ボンの元にベネット教の大教督であるサイリーラが訪れます。異端であるフシを捕まえたと聞いて、フシを引き取りに来たのです。
しかしボンは自分の手柄だと言って、サイリーラを追い払ってしまいます。
その夜、フシはリガードの姿に変身して再び逃げようとするも、またもボンに見つかって阻止されます。
ここが嫌なのか、それともノッカーが来るのを恐れているのかと尋ねるボンに対し、両方だと答えるフシ。
ここについてくればウラリスの多くの軍隊を味方につけてノッカーと戦えるかもしれない。最初はそう考えていたフシでしたが、次第にいつまでノッカーを退治し続ければいいのかと考えるようになっていました。
次 目の前で誰か大切な人がノッカーに殺されたらー
「ノッカーにこの体を全て渡してノッカーの襲撃を終わらせる・・・ ！！」
フシのその言葉に姿を現した黒い男。今の自分を全て失ってもまた一からやり直すだけ。それでもいいのかと黒い男はフシに問いかけます。
それでもいいと答えるフシでしたが、自分が新しい世界を与えてやると話すボン。
「自分を捨てるかどうか決めるのはその後だ」
次の日の朝、やはりフシはノッカーが来てしまうことを恐れ、ウラリスを出て行こうとしますが、ボンに止められます。
ボンしては王になるためにフシを捕まえたのに、今出ていかれるとその足がかりも失くしてしまうからです。ボンは自分もフシについて行き、共に活動することを決めます。
ボンはフシに今やっている仕事をやり遂げたらフシはどうなるのかと問いますか、考えたことなかったと答えるフシ。
ボンはどこかにいる黒い男に、フシを使い倒したら何を褒美にくれるのかと尋ねます。すると黒い男が現れ、自由を与えると答えます。
黒い男は見えないボンにその言葉通りに伝えるフシ。
「自由なんて曖昧な言葉を使うような奴 よく信じられるな」
ボンはそう返すと、仕事の悩みはしばらく忘れるようフシに伝えます。そして友達や恋人を作ってみたらどうだと提案するボン。
意味は知ってるがいまいちピンと来ていないフシに、ボンはウマを与えることにしました。たくさんいる馬の中で美しい白い毛並みの馬を選んだフシ。
フシとカハクたち守護団、そしてボン率いるウラリス軍はノッカーから民を守るという名目で城を出発。
まずはノッカーの脅威を民に信じてもらうため、摩訶不思議なフシ自身を知ってもらう作戦です。
第一の目的地、リブ村に到着したフシとボンたち。
フシの両手から武器を生み出し民衆を驚かせます。その武器は実際にノッカーが来たときに民衆が戦うためのものです。守護団の何人かを村に残らせ、実際の立ち回りも教えるようです。
フシの不思議な力を目にした村人の一人が、フシに声をかけます。足を切られた息子のために、新しい足を与えてくれないかとのお願いでした。しかしフシは断ります。
物は作れますが、生きてる人間や体の一部をつくることはできません。そのやり取りを横で聞いていたボンは臣下のパーキスを呼び出します。
パーキスも以前右足を失い、現在はボンが特注した義足をつけていました。その義足を複製するようフシに伝えるボン。補助具係も呼び出し、村人のためにサイズの調整も行っていきます。
そして義足は完成。義足をはめた村人とその母は喜びフシにお礼を言います。義足の予備も大量に作り、村を去っていくフシとボンたち。
しかしすぐさま村へと戻ることになります。ノッカーが現れたのです。
ウラリス軍は地面から突如現れたノッカーに火薬矢を打ち込んでいきますが、肝心の核は地中にあります。
地面が轟くのを感じ取ったフシ。その瞬間、地面が崩れ落ちますが、ボンがすぐさま木箱を作るよう指示を出します。
フシは火薬矢の入った大量の木箱と共に穴へと落ちていくと、グーグーの姿に変身し火を噴いて木箱を爆発させます。
ノッカーの核は見事に消滅。フシも無事のようです。
ボンは自分の軍隊にも無事かどうか確認しますが、ウラリス兵の一人、トーマスがいないことに真っ先に気づきます。そしてすぐに居場所を突き止め、瓦礫の中からトーマスを救いだします。
その夜、ボンはウラリス軍の働きに感謝し、この調子で明日からも頑張っていこうと声をかけ士気を高めます。
兵士たちはその後もボンを取り囲み、たわいもない会話をしていました。
その様子を見て、ボンが皆から好かれていることに気づいたフシ。
臣下の一人であるトドは、きっと王子が皆のことが大好きで周りをよく見ているから、皆に好かれているのだと話します。
村の人を喜ばせるために義足をフシに作らせたり、ウラリス軍の一人が生き埋めになってることに真っ先に気づいたり、確かに周りをよく見ていないと普通はできません。
ボンはフシがこちらを見ていることに気づくと、フシに向かってウインクを飛ばします。フシはそんなボンを見て小さい笑みを浮かべるのでした―
ここまでの感想
ボン
フシが別のものに変身して逃げようとしても、ボンは毎回気づいてそれを阻止しますよね。幽霊が見えることと何か関係があるのでしょうか。もしかしてマーチとかトナリがボンに教えてくれてる？そしてボンはノッカーの気配も分かるようですね。
褒美として
フシが全てをやり遂げたらフシに自由を与えると言う黒い男。男の言う「自由」とはどういう意味合いなのでしょうか。無限の命を持つフシの体ですが、他の人間と同じように限りある命を持つ体になるのでしょうか？
好かれる理由
ボンが街に帰ってくるやいなや、民衆たちはボンの帰還を喜んで迎えます。周りの臣下達も喜んでボンに遣えてる様子が描かれています。
最初はなぜボンがこんなに好かれているのかわかりませんでしたが、家族や周りの人だけでなく分け隔てなくいろんな人に喜んでもらおう、役に立ってもらおうと行動しているから、みんなに好かれているんですね。
そんな人を思い遣れるボンだからこそ、トナリはフシの仲間になってほしいと思ってるのかな？立場的にも一国の王子として影響力も持ってるし、何かあった時フシを守れるだろうし。
息を吹き返す
1週間後、フシとボンたちはイルサリタ国ウガ城に呼び出されていました。
城主の娘の命を助けて欲しいとお願いされたフシ。城主の娘であるアンナは重い病に犯されており、もう時間がありませんでした。
アンナの痛みがダイレクトにフシに伝わってきます。そしてアンナの「死にたくない」という一言で、フシは堪えきれずに部屋の外へと出て行ってしまいます。
自分ができる事は何もないー
カハクがフシの後を追っていくと、マーチの姿のフシが膝を抱えて顔を埋めていました。フシにとってあの場所は耐えられなかったのです。
「おれも死んで皆のところに行きたい」
そんなマーチ姿のフシに声をかけるボン。どうやらアンナは亡くなってしまったそう。ボンはフシを引き連れ部屋に戻ります。
戻ったフシに、娘を生き返らせてほしいとお願いする城主。フシは無理だと返すも、城主にとってアンナは大切な一人娘。
1週間もろくに寝ず娘のために動き回っていた城主の気持ちを察したボンは、フシにできる全てのことを見せてやれと伝えます。
フシは渋々了承するとアンナの姿へと変身し、自分からアンナの抜け殻を切り離します。
「おれができることは死んだ彼女になること 抜け殻の彼女を作り出すことだけだ」
フシはそう言い残し部屋を出て行きます。その後を追うカハクとボン。しかしボンはあることに気がつきます。先ほどまでアンナの幽霊が自分の近くにいたのに、いつの間にかいなくなっていたのです。
ボンはそのまま部屋を出ていきますが、すぐに部屋が騒がしくなります。アンナが息を吹き返したのです。
驚きの表情を浮かべるボン。城から既に出ていたフシとカハクはその異変に気づいていない様子です。
ボンは黒い男に問いかけます。なぜ"あれ"ができるってことをフシに言ってあげないのかと。黒い男は初めてボンの前に姿を現しますが、何も答えずこちらをじっと見つめています。
ボンはフシに伝えてやろうと考えますが、躊躇してしまいます。今そんなこと伝えてしまったら、みんなを生き返らせて自分の元から離れてしまうからです。
ボンは決めます。自分が王になるまでフシを離さないとー
再びウガ城を訪れたボン。城主より改めてお礼を言いたいので城へ来てほしいと手紙が届いたからです。
城についたボンは、アンナが本当に生き返ったことをその目で確認します。体の痛みもフシの再生能力のおかけで全て治ったようです。
このことは周りに秘密にしておくよう城主とアンナに伝えるボン。本人すらこの能力に気づいておらず、かつこのことが知れ渡ってしまったらフシは一生穏やかに過ごせなくなってしまうからだと説明します。
城から戻ったボンは、気晴らしにみんなを連れて都会へと出ます。
カハクはパロナの姿になっているフシと街を回りたいようですが、フシはこの街に詳しいと言うトドと一緒に街へと繰り出して行ってしまいます。
フシは歩いていると、ふとショーウインドウに飾られていた人形に目を奪われます。しかしどうやら非売品のようです。
そこへカハクが本を持って現れます。詐欺師である主人公が磔の刑にされてしまうが、もう1人逆向きに磔にされていることに気づき、お互い影しか知らないが2人が励ましあって恋に落ちると言う話です。
相手の姿にとらわれない恋や愛について描かれている。この本を通して節に相手を愛しむ気持ちを知ってもらいたいと熱弁するカハク。フシはそんなカハクに、その本を読めばこの気持ちがわかるのかと尋ねます。
「欲しくてたまらない・・・惹き付けられて胸が苦しい・・・」
フシは店主に頼み人形を触らせてもらいます。触っておけば後で復元できるからです。恍惚の表情で人形を抱き上げるフシ。
店を出たフシたち。トドはみんなに声をかけ、あるお店に寄ります。新しいハンカチを王子に作るために、新しい色の糸を揃えるのだと話すトド。
糸を選んでいるトドに誰かが話しかけます。
「アイリス？」
それは彼の父でした。そしてトドは"彼"ではなく"彼女"でした。男性ではなく女性であったトドに驚くフシやカハク。
トドは元々、王妃の侍女として城の採用面接を受ける予定でしたが、たまたま遭遇したボンに、そのふくよかな体型を見初められボンのイス係として採用されたのでした。
自分が女だと名乗れば、その幸運を逃してしまうと思って言わなかったと話すトド。
その夜ー
フシは複製した人形を抱きながら小説を読んでいました。
人形を見つめて頬を赤らめるフシに、その人形の何が良かったのかと尋ねるボン。
すごく綺麗だし見たことないくらい可愛いしー
「マーチがきっと喜ぶ・・・」
もしここにいてくれたらきっと気に入ってくれるはずと話すフシ。ボンは気まずくなりその場を静かに去ります。
そこへ現れたカハク。お茶が入ったと知らせに来たカハクに、昼間勧められた小説が面白いと笑顔で話すフシ。カハクはそんなフシに頬を赤らめます。
その場を去った2人の後ろ姿を見つめるボン。
フシの部屋に入り、デスクの上に置かれた人形を手にとると床に置き直します。
「君は幸せ者だね」
そこにはマーチの姿がありました。
一方フシを連れ出したカハクは、フシに聞いてほしいことがあると伝えると、自分の妻になってほしいと告白。
フシは驚くも、自分たちの関係は違うんじゃないのかと尋ねますが、そんなことは気にせずカハクはフシを思いっきり抱きしめます。
しかしフシは急激な吐き気に襲われ、カハクから離れるとそのまま吐いてしまいます。
フシが今変身しているのはパロナの姿。カハクの体に流れるハヤセの血に、パロナの体が拒絶反応を起こしているのです。
フシは少年の姿へと戻りますが、カハクは男になっても構わないとフシを後ろから抱きしめます。フシはトナリやピオラン、マーチの姿にも変身しますが、どんな姿になっても愛せる自信があると正気ではない様子のカハク。
フシは酒爺の姿へ変身するとカハクに酒をぶちまげて、トドやボンの元へ走って逃げていきます。
そこへ追ってきたカハクは少し冷静になったのか、フシに謝ります。
カハクのことを悪い奴だとは思っていない。でもパロナが同じことを思っているかどうかは分からないと話すフシ。パロナの名に聞き覚えのないカハクに、この体の持ち主だとフシが説明します。そしてカハクの先祖、ハヤセに殺されたということも。
"顔かお腹か お腹はかわいそうだから顔にした 手こずったから仕方なく首をねらった"
パロナはただマーチという小さな子を守りたかっただけ。ハヤセはそれをしかるべき処置だと言って殺した。
「あんたらが二人を殺してまで達成したかったことって何だよ 俺に抱きつくことか?」
そんなフシの言葉に青ざめるカハク。そしてフシへ謝罪します。
翌日ー
エンタス市から招待状が届いていたボンは、フシを引き連れ街へと向かいます。
市長や民衆は2人を歓迎。民衆の1人がフシに質問します。人を生き返らせることができるのかと。
ボンは一瞬驚きますが、デマだと返すとフシに今日は裏で待ってるようにと伝えます。
そんなフシの元にに教会の者が現れます。その者はフシに伝えなければいけないことがあると言います。
それは近々、ボン王子は反フシ派によって捕らえられ処刑されると言う情報でした。
フシを捕まえておくのは難しい。だから代わりにフシを神の使いと崇める者たちを捕まえることにしたと話す教会の者。
しかし逃げても彼らはいつまでも追い続ける。彼らが本当に捕まえたいのはフシ。フシが手に入ればボン王子たちに危機が及ぶ事はなくなる。
その言葉にどうすればいいのか教えてくれと返すフシ。
民衆に演説をしていたボンは、ベネット教に連れていかれたフシのことを知ると、すぐさま探しに出ます。しかしそれを止める市長。ボンに、そしてウラリス国自体に異端容疑がかかっているのだと話します。
そこに現れたベネット教の大教督、サイリーラ。
もしボンがフシを手放せば、ベネット教本山がボンを王へと推薦すると話すサイリーラ。さらに家族が罪に問われてもいいのか、帰る家も国もなくなるなどとボンを脅していきます。
そんな様子を建物の影から見ていたカハクとトド。トドはいい考えがあると言ってカハクに武器を渡しー
ここまでの感想
蘇生の力
ここにきて急展開です。フシが亡くなった誰かに変身して、その身体を自分から引き離すとそこに本人の命が帰ってくることが判明しました。ということはボンが言っていたように、今まで亡くなったフシの仲間たちも生き返らせることができるわけで・・・。
でもそれってどうなんだろう。黒い男がそのことを知っていたのにフシに今まで言わなかったので、死者を生き返らせることが禁忌だからじゃないのかな。
他人の体
カハクの暴走がきもいぞ笑 そしてフシが変身している人達の体は、生前のその人たちの想いみたいのが宿ったままなんですね。だからパロナの体は、自分を殺したハヤセの生まれ変わりと言われるカハクを拒否しました。
フシはそこでこの体は自分の体ではないと改めて認識しましたが、では黒い男の「フシが全てをやり遂げたら自由を与える」ってのは、まずフシに自分自身の体を与えるってことなのでしょうか？
異端裁判
自分たちの大切な家族、城の皆、ウラリスの民にも異端容疑がかけられてしまう。かつフシを引き渡せば、ベネット教が自分を王へと推薦してくれる。
ボンは悩んだ結果、フシを引き渡してしまいます。
一方、広場は騒がしいことになっていました。トドが中心となり、フシを助けるために民衆を奮い立たせていました。
ボンはそんなトドに気づき勝手な行動に怒りますが、逆にトドから怒られてしまいます。
自分達は先に死ぬからいいが、フシはここで異端認定されたらこの世界でずっと苦しめられることになってしまう。
王子は教会の脅しに乗ってフシを売ることで、自分の身の安全を守っただけー
そんなトドの言葉にカッとなったボンは、思わずトドを突き飛ばしてしまいます。
そこへ騒ぎを聞きつけてやって来た領主。民衆の騒ぎを収めるため、教会がやっていることの正当性を証明しろとサイリーラに命じます。
そこでサイリーラは、二日前に亡くなったベネット教の老師が納められている棺を用意します。
フシが悪魔の使いであればこの老師を生き返らすことはできない。逆にフシに神の加護が備わっていれば、その奇跡を目の前で証明してくれると話すサイリーラ。
ボンはフシを制止しますが、フシは力を使い老師の体を自身の手から作り出します。
誰もが見守る中、老師の体は動き出しませんでした。
悪魔の使いだと認定されたフシ、そしてボンは捕らえられてしまいますが、トドが助けに入ります。
しかし教会の遣いに剣で刺され倒れてしまうトド。ボンはすぐさまトドの元へ駆けつけますが、その瞬間背後から頭を殴られ気絶してしまいます。
そのまま崖から吊るされた檻に閉じ込められたボン。
一方でフシは真っ暗な牢獄に閉じ込められていました。そこは鉄の牢獄、出口はありません。
フシはグーグーの姿になり炎で鉄を溶かそうとしますが、鉄は溶けず、かつ体に異変を感じます。それは毒に耐性のあるトナリの姿になっても治りません。
体に必要なものが足りていないのだとフシに話しかける黒い男。
フシが身動きが取れないおかげで、外で起きたゴタゴタが収まり人々は安心して過ごせる。フシのせいで起きる争いも死人もいなくなると話しますが、まだボンたちを助けていないと返すフシ。
彼らが死んだからといって何なのだと話す黒い男に、二人はまだ生きてる途中なんだと返すフシ。
「 ・・・人は皆 何かに納得して少しでも・・・笑顔を遺して死ななきゃだめなんだ！そ・・・そう・・・トナリみたいに・・・ ！！」
フシはそのまま倒れ込んでしまいます。しかし何かが天井から落ちてきたことに気付きます。溶かした鉄です。
サイリーラ率いる教会が、外からフシが閉じ込められている牢獄に溶かした鉄を流し込んでいたのです。
その頃ボンは、隣の檻に誰かが閉じ込められていることに気がつきます。それは剣で刺されて死んだと思っていたたトドでした。
刺された箇所にちょうど刺繍のフレームやハンカチが重なっていたことで、ほとんど無傷で済んだのです。
そしてボンは自分の檻にもう一人いることに気づきます。パンを盗んだだけで捕まったと話す幼い少年、チャボ。
チャボは母も一緒に捕まったが別々に連れて行かれたと話しますが、ボンにはチャボの横にその母親が座っているのが見えていました。
次の日からボンに対して異端裁判が始まります。
人混みの中でどのようにフシを見つけたのかと聞かれ、いわゆる精霊に見つけ方を教えてもらったと返すボン。
他にもなぜその精霊が悪魔の使いではないと思ったのか、それはどのような姿をしているのかなど聞かれても、ボンは素直に答えていきます。
その問答を聞いていたトドは、そこで初めてボンは死んだ人間が見えるということに気づきます。
裁判は毎日繰り返され、その間に与えられたわずかな食料を食べるボンとチャボ、そしてトド。
チャボは母のためにと自分のパンを半分にしてとっておきます。一方パン一つでは足りない様子のボンを見兼ねたトドは、自分のパンを半分糸にくくりつけて隣の檻のボンへと渡します。
その日の異端裁判はいつもと様子が違いました。
なぜ自分にその力が備わったと思うのか、なぜ神が選んだのは弟ではなくボンなのか。
自分の持つ力について尋ねられたボンは、自分が王になる人間だからと返すも、教会の者たちに笑い飛ばされます。
自分の力が神によるものならばそれを証明しろと言われたボンは、チャボの母親の特徴を事細かに述べていきます。そして黒い髪の男を指さし、心当たりはないかと問うボン。
「ここに少年を連れてくる途中で殺した女性の姿だ」
その言葉にざわつく教会の者たち。その日の異端裁判はそこで終了。
母が死んだと分かったチャボは、母のためにとっておいたパンを俯いて食べ始めます。そんなチャボに寄り添う母親。
ボンはそんな二人の姿を尻目に、なぜ自分は王になりたかったのかと思い耽ります。そんな中、隣からトドが声をかけます。
夕日に照らされて自分たちの影が綺麗に崖に映っていたのです。自分とチャボ、そして隣の檻には細くて華奢な女性の影が映っていることに気づくボン。
その瞬間、檻が揺れ始めます。ボンとチャボの檻が下へと下がっていき、トドの檻が上へと上がっていきます。
ボンが下を見ると、そこには川がありワニがうじゃうじゃいました。ボンが急いで檻の床板を何枚か剥がし川へと捨てると、檻は元の高さに戻ります。
どうやらトドが痩せたことで、二つの檻の均衡が変わってしまったようです。
"こんなところとてもじゃないが長く居られない！！"
ボンは崖の上に現れたサイリーラに、いつになったらここから出られるのか、トドやチャボだけでも先に出してやれないのかと叫びます。しかし、神のご加護に預かっていることを証明できればここから出られるとだけ返すサイリーラ。
そんな折にチャボが倒れてしまいます。おそらく栄養失調です。
一方、フシも鉄に閉じ込められて数週間が経っていました。
全身に溶けた鉄を浴びたフシの体は再生と生成を繰り返していました。このままではフシの体は塵になってしまうと思われましたが、フシの手のひらから熱が発していました。
そしてわずかにフシの熱は鉄の硬さに勝っていました。
全身に鉄を浴びたことによって、フシは熱に耐えうる再生力と、強い意志を肉体に伝達させる力を手に入れたのです。
フシはそのまま鉄を突き破り外へと出ようとしますが、外から大量の水をかけられ鉄はそのまま冷えて固まってしまいます。
サイリーラたちは正義は勝ったと喜びますが、実はフシは既に鉄から脱出していました。
リガードの姿で空を飛んでいくフシ。向かう先はボンたちが捕まっている場所です。
ここまでの感想
"永遠に生きる"ということ
トドもといアイリスが言った「自分達は先に死ぬからいいけどフシはここで異端認定されたらこれから先この世界でずっと苦しめられることになる」ってセリフにハッとしました。
今まで死んでいく方が辛いと思っていたけど、永遠にこの世界を生きていかなければならないフシの方がよっぽど辛いよなぁと・・・。
そんなフシですが、鉄の檻に閉じ込められ更に熱したドロドロの鉄を浴びせられることによって、その熱に耐えうる再生力を手にいれました。そしてボンたちを助けに行ったフシ。
みんな無事に助かるのでしょうか？なんか今回宗教も絡んでいる話だったからか、このフシの物語が神話のようなものに感じてきました。
さいごに
８巻ではフシやカハクと活動を共にするようになったボン。そこで発覚したフシの力、それは"死んだ人を生き返らせる力"でした。そんな折に、異端容疑でベネット教に捕らえられてしまったフシとボン、そしてトド。
ボンが異端裁判にかけられている最中、フシは生身の体に溶かした鉄を浴びせられますが、鉄に耐えうる再生力を手に入れ脱出します。
フシはボンとトドを救えるのか？
９巻も必見です！
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