2021年10月29日 2021年11月19日
何かの才能に秀でた人や商売で成功してる人を見ると、「自分もがんばろ!」と思う反面、その人たちと自分を比べて落ち込んでしまうことってないですか?
私はめちゃくちゃあります笑
「自分には取り柄がない」とか「自分には価値がない」とか・・・
でもそれが能力の差ではなく、『マーケット感覚』を持ってるか持ってないかの差だったら?
今回は、ちきりんさん著「マーケット感覚を身につけよう」を感想を交えてご紹介していきます!
こんな人にオススメ!
・自分には何も取り柄がないと思ってる人
・「価値」について知りたい人
・市場の動きについて敏感になりたい人
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「マーケット感覚を身につけよう」ってどんな本?
著者は2011年にBLOGOSアワードならびにアルファブロガーアワードを受賞している、社会派ブロガーのちきりんさん。
そんなちきりんさんが論理的思考と対局にある「マーケット感覚」について書いた本書。
マーケット感覚ってのは、簡単に言うと価値ある能力に気がつく能力のこと。
つまり売れるものに気がつく能力でもあり、価値を認識する能力のことを言うそうです。
このマーケット感覚が備わってなかったり弱かったりすると、自分や自分のすぐそばに価値あるものが存在していても、その価値を認識できません。
よって「自分や自分の周りには何も価値あるものがない」と思ってしまうんです。
もっとわかりやすく言い換えると、同じものや同じ人、全く同じ環境を目の前にしたとき、マーケット感覚がない人は「何の取り柄のないもの」に見えるけど、マーケット感覚がある人にとっては「大きな価値のあるこれから世の中で強く求められるもの(売れるもの)」に見えるんです!
もっと簡単に言うなら、ダイヤの原石である石ころを見て「ただの石ころじゃん」って捉えるのか、「磨けば価値のある宝石になる!」って捉えるのかって感じでしょうか。
本書ではそんなマーケット感覚を理解し、養うことが目的です。
自分自身だけでなく、自分の身近な場所でも価値あるものを見つけやすくなれば、モノの視え方がガラリと変わるはずです!
「マーケット感覚を身につけよう」の感想レビュー
二刀流の考え方
何か問題を解決するとき、どんな考え方で問題を解決しようとしますか?
大体の人は論理的な考え方で解決しようとしますが、ここにマーケット感覚もプラスして問題解決にアプローチしていく方が圧倒的に早く、そして現実的で豊かな答えにたどりつきます。
企業に勤めている場合でもフリーランスの場合でも、必ず競合相手をリサーチして戦略を立てていくと思いますが、論理的思考だけで考えた場合とマーケット感覚を使って考えた場合とでは、全く違った競合相手が出てくるのです。
例えば航空会社の競合を考える場合、論理的思考であれば、
①航空事業とその他の事業(ホテルやクレジットカード、整備など)に分ける
②航空事業の中で旅客便と貨物便に分ける
③旅客便の中で国内線と国際線に分ける
てな感じで、まずは航空会社の事業を分解しながら1つずつ丁寧に考えていきますよね。
場合分けして論理的に考えることで、思考をスムーズに進めることが可能になります。
一方でマーケット感覚を使えば、
・「コロナ禍だし、出張は辞めてテレビ会議にしよう」→リアルタイムで通信可能な会議システムもライバル
・「テレビで見た北海道のカニが食べたいけど、旅行に行くには高いからお取り寄せしよう」→お取り寄せの通販もライバル
など、顧客が航空会社の提供価値を購入するリアルな現場を想像することで、簡単に異なる発想を得ることができます。
マーケット感覚を身につければ、こういった商品やサービスが売買されている現場のリアルな状況を想像できたり、顧客が市場で価値を取引する場面を直感的に思い浮かべられるんです!
何も意識してないと、「航空会社の競合は何がある?」って聞かれたときに他の航空会社だったり、新幹線だったりしか思いつきませんが、マーケット感覚を養うことで他の視点からも考えることができちゃうんです。
論理的思考とマーケット感覚、二刀流の考え方を使えるようになれれば世の中の視え方が変わりそうですね!
買っているのは「モノ」ではなく「価値」
お米とスイカの価値は大きく違う
例えばお米とスイカって、同等の価値だと思いますか?
もちろんほとんどの人が違うと思います。
スイカはおやつやデザートで食べて楽しむ嗜好品としての価値があります。そしてこれは代替え可能ですよね。
スイカが例えば高くて買えない時だったり、売り切れていたとしても、生活するには困りません。
しかしお米は違いますよね。
なぜならお米はスイカとは違って、「食卓に不可欠な主食」としての価値があるからです。
現代ではパスタやパンなど他にも主食がありますが、日本人にフォーカスすると、大体の家庭の主食はお米のときが多いんじゃないかな?
よってお米が少しばかり高くてもほとんどの人が買うし、めったにないですが売り切れていたら別のお店に探しに行くことだってあると思います。
車の価値は変わってきている
高度成長期に高級車を買う人たちがたくさんいましたが、その人たちは高級車にどんな価値を求めていたのでしょうか?
楽に移動できる価値?それとも重い荷物を簡単に運べる価値?
ではないんですよね~!
わざわざ高い車を買っていた人たちの多くは、高級車を持っていることで「豊かに見える」という価値や、「女の子をデートに誘いやすくなる」という価値を買っていたのです。
でも今はどうでしょうか?
高級車は買うときの支払いだけでなく管理費用にも多額のお金がかかるし、現代では同じ価値を持つものがたくさんあります。
例えば現代では高級車を持っているより、美味しいスイーツのお店をたくさん知っているなどの方が女の子をデートに誘いやすくなる確率が高そうですよねw
よって車が提供できている価値っていうのは、「移動手段」や「運搬手段」としての価値などに変わってきています。
その結果、都市部に住む人は電車で充分移動できるから車を買わなくなったり、地方に住む人も安い車をできるだけ長く使おうと考えて買う傾向にあります。
米やスイカ、自動車の話から、市場で売られているのは「もの」ではなく何らかの「価値」であることが分かったのではないでしょうか?
つまり私たちは「もの」自体でなく、その商品や物を使うことで得られるまたは感じられる価値をお金を出して買ってるんですね~!
コロナ禍でペットを飼い始める人なんかも、「かわいい犬を自分の横に歩かせたい」などのようなアクセサリーやファッションの一部としての価値を買ってるのではなく、誰にでも気軽に会えなくなって寂しいときが多いから、「自分にいつでも寄り添ってくれる存在」としての価値を買っているって人もいそうですよね。
マーケット感覚で世の中の見え方が変わる!
ここでは2つのトピックスを例に、「マーケット感覚があれば世の中の見え方が変わる」ということをご紹介していきます。
英語ではなく違う言語を学ぶべき?
一昔前はこれからの社会で必要なのは英語力だったりリーダーシップ、ITリテラシーなどと言われてきましたが、現代やこれからの将来で必要なものも昔と一緒なのでしょうか?
英語力を例にして話すと、実は「英語で仕事ができる」という価値は現代ではどんどん低くなってきています。
と言うのも、以前は欧米の企業が先進国に進出する際、現地の英語が話せるスタッフが必要不可欠でした。
しかし今はどうでしょう?
発展途上国であるフィリピンやインドなどの人も母国語とは別に英語を話せますよね。
となると欧米の企業側としては、別に先進国でわざわざ高い給料を出して英語ができるスタッフを雇うより、経理部門やIT部門だけフィリピンやインドに作って現地の英語ができるスタッフを雇えば良いわけです。
つまり「英語ができる」がすごく有利だった時代は既に終わっているかもしれないのです。
逆を返せば、今後はもっと供給の少ない言語を習得する方が有利だとも考えられます。
「供給の少ないもので強く求められるものは何か」
そんな考え方がこれからは大事になってくるのです。
私は以前、海外のゲストがたくさん来る宿泊施設で働いていたのですが、確かに英語が話せればゲストとのやりとりもスムーズだし、海外の友達を増やしたい人は交流ができるからいいと思きます。
でも「英語がしゃべれる人はお給料が高いのか?」と聞かれると答えはノー。何ならチェーン店の牛丼屋さんの方が自給は高いかもしれない笑
そのくらい「英語がしゃべれる」って価値は、以前に比べればどんどん下がっていっているのかもしれません。いや、しゃべれない側からすればしゃべれるに越した事はないんだけどねw
ただ仕事に直結させたいだとかお金に結びつけたいってなると、これからからは別の言語を習ってみるのがいいかもしれませんね。
貯金が増えた=貴重な体験を逃した?
こんな不安定な世の中だし、何かにお金を使うより貯金をする方が安心だと思いがちですよね。
しかし貯金をすることで、その分得られるはずだった経験を逃してしまったとも言えるかもしれません。
私たち日本人は「貯金をする=良いこと」だと思いがちです。
貯金をするとき、「銀行にお金を預ける」という感覚ですが、銀行側からしてみれば「定期貯金を売っている」という感覚です。
マンションや一戸建てを買うときも、私たちは「住宅ローンを借りる」ですが、不動産屋からすれば「ローン商品を売る」です。
個人がお金を使うにあたってまず分けられるのは消費市場と貯蓄市場。つまり、貯金をするということは、貯蓄市場にお金を回しているだけなんです。
今年、一千万円の貯金が増えたと喜んでいる人は、「もしかして自分はこの1年で一千万円分の貴重な経験を逃してしまったのではないか」と振り返るべきだと著者のちきりんさんは警告しています。
「貯金はたくさんあったほうがいい」とか「老後は何千万必要だ」とかが世の中の定説だけど、本当はそれさえも貯蓄市場のセールスなんですよね~怖い怖い笑
まぁ確かに、自分の銀行の口座に3ヵ月は生きれるお金が入ってないと不安にはなるかもしれません笑
でも「月の給料の半分以上を貯金するぞ」とかやってると、その分自分が体験できるはずだったこととか逃してるってことですよね。
無理に使わずでも無理にも貯めず、とりあえず今まで意識してなかったこの入れ子構造を理解しておくだけでも違いますよね!
すべては『価値』から始まる
価値を見極めよう
①テレビの価値
テレビは「視聴率の獲れるコンテンツ」から、「リアルタイム視聴率の獲れるコンテンツ」へと価値が変わりました。
録画して後から番組を見る人や、パソコンやスマホで動画を見る人が増えたからです。
「テレビの時代は終わった」と考える人、「リアルタイムで見てもらえるコンテンツを見つければ、さらに高いスポンサー収入が得られるはず」と考える人。
どちらがマーケット感覚が高いと言えるかは明確ですよね。
確かに私もここ数年テレビより動画ばかり見ていますが、生放送で面白い番組がやってると思わずテレビを見てしまいます。
去年カウントダウンlive liveでやっていた髭男の1時間ライブとか、サッカー日本代表の試合とか!
やっぱりリアルタイムで見れるってことはすごく価値のあることですよね。
②昔にはなかった価値
ネットでは「みんなが意見を言い合う場所」に価値があることが顕在化してきています。
例えばYahoo!ニュース記事のコメント欄や、ニコニコ動画の流れるコメントなど。
従来はそのコンテンツ自体に価値がありましたが(ニュースならニュース自体、動画なら動画自体)、現在はコメントのほうに価値が変遷してきています。
確かに私もニュースそのものを知るためにニュースサイトを見るというよりかは、その出来事に対して世の中の人たちがどう思ったのか、どう感じているのかを見ていくのが好きです。
以前は価値があると認められていなかったものに、価値が生まれつつあります。
マーケット感覚を身につければ、こういった以前はなかった価値についても「これならお金を払ってでも手に入れたいと考える人がきっといる。これは大きな価値だ!」と早々に気がつけるようになるんです!
『誰かに選んでもらう』という価値
日本を含む消費大国では、モノやサービスが多すぎるほど溢れていますよね。
それでもたくさんの中から、自分が納得できるものを自分自身の考えやセンスで選びたい派ですか?
それとも選ぶ時間がもったいなかったり選ぶのが面倒で、誰かにその人自身の考えやセンスで選んで欲しい派ですか?
私はモノによっては自分で徹底的に比較して選ぶ派です。
自分で選ぶのが苦でなく割と好きな人は、比較サイトやレビュー情報に価値を感じます。
一方で選ぶのが面倒な人は、選んでくれる人自身に価値を感じているのです。
モノやサービスが溢れる現代では、「誰かに選んでもらうという価値」がますます重要になってきます。
例えばセレクトショップを訪れる人は、お店の選球眼や商品の選択センスを気にいっています。
つまり「自分の価値観に合ったものを選んでもらうという価値」にお金を支払っているのです。
確かに現代って、何かを買おうと思った時に選択肢が多すぎますよね!
例えば以前、加湿器を買おうと思ったときもスチーム式、超音波式など種類があって、そこからサイズ感だったり音の大きさだったり、他の機能だったり使い勝手を自分で見定めて選ばなければならなくて、ネットで比較サイトなどでよく見比べてました。
選ぶだけで時間もかかるしなかなか疲れますよね~(;^ω^)
だけどそんなときに例えば自分が絶対の信頼を置いている人物やサイトが「加湿器ならこれがいいよ」と言ってたら、もしくは5つ位に絞って記事を書いてくれているブログなどがあればかなり楽ですよね!
普通の人も『売れる価値』を持っている!
ここまで価値とは何か、マーケット感覚によってどのように世の中の見え方が変わるのかをご紹介してきましたが、実はごく普通の人でもマーケット感覚さえ養えれば価値の供給者になれます!
というのも、ごく普通の人が何を考えているのか、どう感じているのかという情報にも大きな価値があるからです。
例えばここ数年で「カリスマ収納アドバイザー」ですとか「お掃除マイスター」といった人たちが出てきて活躍していますが、彼女らだってもともとは普通の主婦だったりします。
彼女らが巨大な市場をものにできたのは、彼女らと同じ立場の主婦が日本中に何百万人もいるからなのです。
そもそも世の中で一番多いのは普通の人なので、一番大きな市場は自動的に普通の人をターゲットにした市場になりますよね。
「普通」って言われるのってあんまり好きじゃない人多いと思いますけど、でも世の中で1番多いのってやっぱ普通の人なんですよね~!
だからこそ共感してくれる人が多く、一番大きな市場になるんですよね。
だからこそ自分が普通であると嘆いたり過小評価する必要は全くないんです!
特別な能力やスキル、ましてや学歴や資格など全く関係ありません。
自分の周りに何か市場で求められている価値の素がないか、それに気がつけるかどうかが重要、つまりマーケット感覚があれば誰でも価値の供給者になれるというわけです。
おわりに
いかがでしたか? ・"ジャパネットたかた"はなぜ人気なのか
「価値」とはそもそも何なのか、マーケット感覚がいかに重要か。
これから何かを買うときや自分がモノやサービスの売り手になるときなど、今までとは違いかなり意識的になって考えることができそうですよね!
本書では他にも、
・募金や援助こそ弱者を切り捨てる
・羽田の国際線復活の裏側とは
・就活も婚活も市場化
・「値札」や「相場」は他者の判断結果
・自分の欲望に素直になろう
・属人的な組織評価からの脱皮
・作りこみより「とりあえずやってみる」
・市場性の高い環境に身を置く
など他にも、マーケット感覚や価値についての理解が深められる情報や例がたくさん載ってます!
特に5章では実際にマーケット感覚を鍛える方法も載っているので、ぜひ読んで試してみてはいかがでしょうか?
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