2022年1月29日 2022年2月2日
たくさんのモノやサービスがあふれる現代。
たとえば、値段もデザインも素材もそんなに変わらない洋服を2つのブランドが販売していても、 Aのブランドはたくさん売れてBのブランドはそんなに売れてないなど、違いがありますよね。
私の好きなK‐POP アイドルも、 実力やルックス、曲の感じなどそんなに大差はないのに、 Aのグループは爆発的な人気があって、Bのグループはそんなに人気がないということもあります(-_-)
では、その違いって一体何なのでしょうか?
商品やサービスの「何に」消費者は反応して購入しているのか、好きになっているのでしょうか?
そんな疑問を、今回ご紹介する書籍「心が分かるとモノが売れる」でひも解いていこうと思います。
こんな人にオススメ! ・自分の商品やサービスがなかなか売れない人 ・人を動かす隠れた心理や、無意識に行動をかきたてる心理を知りたい人
目次
Audibleではオーディオブックが2冊無料で聴ける!
Audibleでは2冊のオーディオブックが無料です!
とくに本をゆっくり読む時間がなかなか取れない人にオススメ!
通勤中や家事の最中など、いつでも好きなときに聴けます。
気になる方はまず30日間無料で試してみてはいかがでしょうか?
『「心」が分かるとモノが売れる』ってどんな本?
本書の筆者である鹿毛康司(かげこうじ)さんは、元々 雪印乳業で働いており、2000年におきた食中毒事件も経験しています。その後、ムシューダや消臭力でお馴染みの「エステー」へ入社。
「ミゲルと西川貴教の消臭力CM」や「高橋愛(元モー娘)のムシューダCM」など、数多くのヒットCMを手掛けてきました。
現在は独立して、マーケターやクリエイティブディレクターとして活躍されています。
そんな鹿毛さんのモットーは「お客さまの心に向き合う」こと。
ただ仕事としてCMをつくるのではない。ただヒットしそうなCMをつくるのではない。そのCMを実際に見る視聴者の気持ちや、自分でも気づいていない深層心理に寄り添ってCMをつくる。
そうすることで自然と商品が売れるのです。
本書では鹿毛さんがどうやってお客さまの心に寄り添い、心の奥底にある気持ちを拾い上げて形にしてきたのかが、たくさん詰まっています。
コロナ禍の学習塾が、前年比約1.6倍の入塾者を獲得できた理由とは?
コロナ感染拡大は、大人だけでなく子供たちへも影響
昨年、コロナの感染拡大によって緊急事態宣言が発令されましたよね。
その際に影響があったのは飲食店や映画館、イベントなどだけではなく、全国の学校も一斉休校を余儀なくされました。
学校が休みということは、学習塾業界にも影響があるわけで、 どこの塾も売上が大幅に落ち込んでいたそうです。
基本は「外に出るな」でしたもんね(-_-)
そんな中、本書の筆者である鹿毛(かげ)さんは、「ベスト個別学院」という学習塾から CM 制作の依頼を受けます。
そして出来上がった CM のメッセージがこちら。 「小中高の皆さん 今、いろんな不安があるよね でも大丈夫。この夏で取り戻そう。全力で応援します。」
この CM は大きな反響を呼び、入塾者数は前年同月比1.58倍にもなりました。
従来のマーケティング手法には頼っても意味がない
これまで学習塾が打ち出してきたメッセージといえば、 「 今まで多くの子供たちが成績アップしてます!」
「 どこの塾よりもリーズナブルな授業料です!」
「入学金無料!」
「今ならお試し価格!」
などでしたよね。
今までだったらこういったメッセージでも、充分響いてたかもしれません。
しかしコロナ禍においてはどうでしょうか?
慣れないリモートワークや、「いつコロナに感染するのか」といったストレスを抱える親たち。 「いつになったら学校に行けるのか」「いつになったら友達と遊べるのか」といったストレスを抱える子供たち。
先の見えない暮らしの中で、大人子供関係なくストレスや不安が溜まっています。
そんな状況で「成績アップ約束します!」とか「 入学金無料です!」とか言われても、正直、心に響きませんよね(;^ω^)的外れというか・・・
ではコロナ禍という状況を考慮して、 「 学校が休みだからこそ、塾で勉強しよう」
「仲間と会えるよ」
「遠隔でも勉強できます」
「 感染対策しっかりしてます」
などといったメッセージを打ち出せばどうでしょうか?
「成績アップ約束します!」とかよりはマシだけど、いまいちピンと来ない・・・どこも同じようなこと言ってるし・・・って私ならそう思っちゃいます笑
「友達と会える」とか「感染対策バッチリ」とか、確かに親や子供が心配していることにフォーカスしてますが、それが彼らを動かす「心のツボ」とは限らないんですよね。
CM 制作を依頼された鹿毛さんは、塾のCMでありがちなメッセージはどれも採用しませんでした。
コロナで学校が一斉休校なんて前代未聞。そんな中で従来のマーケティング手法に頼っても、いい答えは見つからない。
そこで鹿毛さんは、子供たちの「心のツボ」を探るため、自身の幼少期を思い返します。
ただ思い出を振り返るのではなく、学生時代の自分に戻って、日常生活で自分はどんな状況だったか、そのときどんな感情を抱いたか、などを事細かに思い返していく作業です。
「心のツボ」を探る方法とは?
中学を卒業するころ、鹿毛さんの偏差値は65前後。周りから褒められることも多々あり、自分でも明るい未来を信じていたそうです。
しかし高校生になると状況が一変。
地元の有名校に進学しましたが、毎日部活の練習でクタクタ。そんな状態で帰ってきても、とてもじゃないけど勉強する体力は残っていない。
そんな風に自分を正当化しているうちに、どんどん成績は下がり、いつしか落ちこぼれに。
65近くあった偏差値は50前後へ下がってしまいます。 「 今から塾に通ったところで、成績が上がるとは思えない」
その時の鹿毛さんの心境は、
「トップを走っていた中学時代ならともかく、落ちこぼれてしまった今となっては、必死に成績アップを目指すなんてかっこ悪い」
など、 今となってはちっぽけなプライドにがんじがらめになっていたそうです。
この思い返す作業で大事なことは、ネガティブな思いや感情に向き合うこと。
できれば思い出したくはない、記憶の底に封じ込めてあるような「嫌なこと」の奥底に、何かが横たわっているのです。
作業の手順
①「自分のことは自分でもよくわかっていない」という大前提に立ち、自分が抱いていた当時の感情に向き合う。
②言葉ではうまく説明できないけれど、そこには「何か」がある。そう思えたら、感じたものを「色」で例えていく。
たとえば鹿毛さんの場合、 ・中学時代(勉強ができていた)→ 新しい自分にワクワクしていた→真っ青で時々ピンクの光が射しているイメージ
・高校時代(勉強についていけなくなった)→思い返すだけで気が滅入るような世界→薄暗く色のないイメージ、部活をしている時だけ薄赤色のイメージ
こうして当時のネガティブな思いと向き合うことをで、人が誰しも持っている感情をキャッチする「周波数」を得ることにつながります。
この周波数を合わせることで、他の誰かの「心のツボ」が見えてくるのです。
あの頃の自分に声をかけるとしたら、何を伝えるべきか?
当時の自分を思い返して手に入れた周波数を用いて、現代のコロナ禍で学校に行けなくなった子供たちや、親御さんたちの心の奥底へアクセスしていきます。
そこには、 ・社会に対して失望感を感じている
・自分に対する無力感に悩まされている
といった思いがある。
そう仮定したとして、そんな相手に「夏期講習を頑張ろう」と伝えたら、どんな気持ちになるだろう?
あまりにも押しつけがましく、自分が置かれている現状とかけ離れた、上辺だけの言葉にしか聞こえないのではないか?
鹿毛さんは そんな考えに至ります。
ではどんなメッセージなら子供たちや親御さんに届くのか?
あの頃の自分に声をかけるとしたら何を伝えるべきか?どんな言葉であれば気持ちが動くのだろうか ?
一週間ほど考え続けふと浮かんだのが、「大丈夫だよ」という言葉。
こうして出来上がった CM のメッセージが、 「小中高の皆さん 今、いろんな不安があるよね でも大丈夫。この夏で取り戻そう。全力で応援します。」
このメッセージはかつて子どもだった鹿毛さんが、誰かに言って欲しかったメッセージ。
こうして CM を制作するのと同時に、「なぜ大丈夫と言えるのか」の具体的な理由を自社サイト、デジタル広告、チラシで説明。
その結果、 ベスト個別学院の入塾者数は前年比の1.58倍 という成果を出したのでした。
おわりに
ただ単に従来のマーケティング法を使って、広告をつくるのではなく、その広告のメッセージを伝えたい相手の「心のツボ」を探る。
こんなときだからこそ、相手の心に寄り添って考えるということが大事ですよね。
本書では他にも、 ・相手を動かすために、自分の「心のツボ」を見つける練習について
・なぜ人は防虫剤を買うのか?
・同じ防虫剤でも、衣類と米ではインサイトが異なる
・雪印事件から学んだ「企業人格」について
・ミゲルの消臭力CMは「覚悟」の産物
など、他にも「お客さまの心にどう向き合うべきか」や「お客さまのインサイトの探り方」がたくさん載っています。
現役マーケター鹿毛さんからの考え方から学びたい方は、ぜひ読んでみてください。
Audibleの30日間無料体験では、2冊のオーディオブックとPodcastが聴き放題!
プロのナレーターや声優が読んでくれるのも魅力的!
1アカウント申し込めば、家族や友達とも共有できちゃいます。(最高9台まで※)
※アンドロイド端で3台、iOS 端末で3台、Windows10 系端末で3台の合計9台まで。
こちらもCHECK
-
どんな価値が求められているのか、それに気づける力。ちきりん『マーケット感覚を身につけよう』の感想・レビュー
続きを見る
-
お金と心の不思議な関係とは?ハワード・S・ダンフォード『行動経済学入門』の感想・レビュー
-
人間の心の本質を探る!『図解 眠れなくなるほど面白い 社会心理学』の感想・レビュー