『約束のネバーランド』3巻【ネタバレ有】下見を決行するエマたちの元へ現れたのは・・・

ドンとギルダはママの書斎へ入る。ギルダが本棚を横にスライドさせると、そこには隠されたドアが。

一方、図書室。
エマはノーマンにいくつかの蔵書票を見せていく。”ウィリアム・ミネルヴァと書かれた名前の上には、点線の円で囲まれたフクロウの絵が。

ノーマンは気づく。フクロウを囲った点線の円が、モールス符号になっていることに。

「逃げろ」「疑え」「危険」「真実」

そして

「収穫」「怪物」「農園」

ミネルヴァの生死は分からないが、2015年発行の本にも貼られている。”「外」には味方がいた、今もいるかもしれない”ノーマンは希望を抱く。

本の中に２つだけモールスの意味が分からないものがあると言うエマ。一つはモールスがないマーク。そしてもう一つは「約束」の意味のモールス。中身は冒険小説でところどころ破れているページもある。

エマはこの２つの本が”大切な道標”になる気がすると言うのだった。


同じ頃、ドンとギルダはマスターキーで秘密の部屋を開けていた。地下へと続く扉を見つけハシゴを下っていくと、そこには通信手段として使う機械が。そしてコニ―が持って行ったはずの人形、昔出て行った兄妹たちが持って行ったはずのオモチャも並んでいた。

“やっぱりエマたちは正しかった”

2人はそう思うも、エマたちが言っていた言葉を思い出し疑問を感じる。”悪い人に売られていた”　”ママはもちろんシスターにバレたら即アウト”など。

ドンは考える。”ママはもっとヤバくてコニ―達はもうー”

その時、誰かが書斎に入ってくる。ママだ。

ドンとギルダは反対側の部屋から脱出。ママは廊下に気配を感じ、ドアを開けるとそこにはエウゲンが。”ママこれおちてた”エウゲンの手のひらにはマスターキーが。ママはお礼を言うも、いつだれに盗られたのか思考を巡らす。


ーエマたちは食堂へと向かうとドンとギルダの姿がないことに気づく。”まさかー”振り返るとそこには２人の姿が。

夕飯を終え食堂から人気が消えたところで、ドンは秘密の部屋に入って来たことを明かす。
レイが問い詰めるもドンは騙しやがってと吐き捨てる。

「コニ―は　コニ―達はもうー」

エマは謝り真実をすべて語りだす。鬼の存在、そしてここが農園だということ。そしてレイがスパイであること。

ドンは、レイがコニ―がどうなるか分かっていたこと、エマとノーマンが自分たちを騙して敵だらけの外へ連れ出そうとしていたことを把握。ノーマンとレイを殴ってしまう。

エマの胸倉を掴むもドンはその手を離す。”自分たちはそんなに荷物なのか、守ってあげなきゃ何もできない弱者なのか”。ドンもギルダもすべては自分たちを守るための嘘だと分かっていた。

「少しは信じてほしいんだよ・・・・！」

ドンは頭を冷やすと言って部屋から出て行き、ギルダも追って出て行く。その様子を食堂の外から見ている影が一つ。シスター・クローネだ。


ーエマたち３人はドンとギルダを追いかけ再度謝る。ドンとギルダの２人も勝手に行動してしまったことを謝る。エマは再度２人に問う。”しくじれば死ぬし外は鬼の世界かもしれない、それでも一緒に逃げてくれる？”と。

ドンとギルダは声を揃えて”当たり前でしょ”と返すのだった。


次の日エマはノーマンに、自分なりに考えた”全員を連れ出す方法”を伝える。無茶だねと返すも、これならレイを欺いて全員逃げれるかもしれないと考えるノーマン。

その頃レイはママへ偽の情報を話していた。ノーマンがママを殺そうとしていて、洗剤や除草剤など使えそうなモノ片っ端から集めていると。薬剤が厄介だと呟くママに、明日中身をすり替えようと提案するレイ。明日決行する下見の時間を稼ぐためだ。


レイ以外の４人が森の中を歩きながら段取りを確認していると、木の影から突如クローネが現れる。食堂での会話を全部聞いたと話すクローネ。

“即出荷”その言葉がみんなの頭によぎった瞬間、クローネは提案する。「私と組まない？」とー

脱走したいエマたち、このハウスのママになりたいクローネ。”お互いの目的”のために協力しましょうとクローネは提案する。

クローネは自分の首に彫られたナンバーを見せ、自分もハウス出身であることを教える。そしてGF(グレイス＝フィールド)の管理システムについて話し始める。

一定以上の成績とママの推薦があれば、12歳まで生き残った女子に限り、２つの道が選べるのだ。このまま死ぬか、もしくはママ(飼育監)を目指すか。ママを目指す場合はその代償として二度と敷地の外にでられない。

クローネは胸元の大きな傷を見せる。チップが埋め込まれおり、外に出たら電気を流され心臓を止められるそうだ。

“農園でしか生きられないから、その中で一番イイ暮らしがしたい”クローネは言う。そのためには今のママ・イザベラを排除する必要がある。エマ達が脱走すればイザベラは責任を問われ排除されるのだ。

クローネは再度、お互いの協力を提案する。


ノーマンは気づいていた。クローネは「証拠」を掴めば自分たちを容赦なく出荷する。その「証拠」を掴むために標的全員に近づいてきたのだ。

だとしても他に選択肢はない。組まなければクローネは今まで通り邪魔をしてくる。そして食堂での会話を聞かれている。しかし「証拠」を掴ませない限り、クローネは自分たちを逃がすしかない。

互いに腹のうちは判っている。両者の交渉は成立。


ーその日の夜、早速クローネの部屋に招かれるエマとノーマン。何でも聞いてと促すクローネ。

発信器について聞くエマ。クローネは発信器を確認するモニターを渡す。個人の特定はできない。発信器は左耳に埋め込まれており、壊すとモニターにも本部にも通知がいくそうだ。

次にクローネとママについて。クローネは26歳、ママ・イザベラは31歳でともに農園生まれ農園育ち。「外」は見たことがない。でも「外」に人間はいると話すクローネ。本部で鬼たちと対等に話している人間たちを見たそうだ。

その後、この農園の場所や周辺の警備など一通り質問し、部屋を去ろうとするエマとノーマン。クローネは突如笑いだす。発信器の場所や壊し方を２人が突き止めていることを賞賛する。

２人は失言してないにも関わらず、クローネにバレてしまったのだ。”情報は言葉だけではない”と教えるクローネ。態度や目線、仕草など、すべてが相手を探るヒントになる。

クローネが「発信器の場所は耳にある」と伝えたとき、エマたちは耳を触って確かめようとしなかった。取り出せる段取りも教えたのに、嬉しそうな素振りも見せなかったのだ。

２人は焦るも”「証拠」はまだ何一つ掴まれてない”と自分たちを落ち着かせる。

クローネは最後に「〇〇って知ってる？」と２人に尋ねる。聞きなれない言葉。クローネから次来た時に教えてあげると言われ、エマたちは部屋を去っていく。


次の日、下見の段取りを最終確認する５人。

昼ごはんの後、自由時間にレイがママを引きつける。その間にノーマンとエマが塀に上って下見。ドンとギルダは屋外、ハウス２階の南窓が見える位置で待機。万一レイがママを引きつけられなかった場合、２人に合図をしてエマとノーマンに下見中止を知らせるためだ。

下見前エマとノーマンは、レイに発信器を壊せることがクローネにバレたことを伝える。それによってノーマンは脱獄の決行日を早めたい旨を話す。

発信器を壊す最後のパーツが揃ったと返すレイ。これでいつでも発信器を壊せる。下見次第で決行日を早めることに。

その頃クローネはレイのベッド周りを調べていた。発信器を壊す道具が隠されていれば、それが動かぬ「証拠」となり出荷できるからだ。

レイは全く別の場所へ隠し、その上で別の餌を撒いていた。

クローネはベッドの隙間に落ちていたメモを見つけ、その内容に驚愕する。”これを上に見せればイザベラを失脚させれる。でも念には念を。”クローネは書類を確認すると、それは事実ということが判明する。

そんなクローネの元へママ・イザベラが訪ねてくる。クローネ宛ての手紙が本部から届いたようだが・・・？

クローネが本部から届いた手紙を開くと、そこにはクローネを他のハウスのママ(飼育監)に任命する旨が書かれていた。

グランマ(大母様)が門へ迎えに来ているので早く荷物をまとめるよう促すイザベラ。”これは罠だ”と考えるクローネ。恐らく自分を始末するため、何かしらの口実をつけて本部に書かせた書状。

中身は嘘でも手紙自体が本物であれば、今すぐ門へ赴く必要があった。


ークローネは荷物をまとめ門へと急ぎ、一か八かグランマに告訴する。レイのベッド付近で見つけた重大な秘密が書かれたメモ、そしてフルスコアであるエマたちが脱獄しようとしていること。

グランマは、かつての自分のように制御できているのであれば問題ないと切り捨てる。グランマは自分がママをやっていた頃、秘密を知ったイザベラを制御していたのだ。イザベラもこのプラント(飼育場)も特別なのだと言うグランマ。

イザベラは自分に必要な駒でありクローネでは代わりは務まらない。

「私が困るのです」

そう言って去っていくグランマ。

グランマとイザベラがグルであった、自分には最初から勝ち目などなかった。笑うクローネの背後から巨大な鬼の手が現れる。握り潰されるクローネ。鬼はクローネの心臓に、コニ―に刺されていたのと同じ植物を刺そうとする。

“大人しく殺されてなどやるものか”

クローネはハウスを出発する前、ノーマンの引き出しにペンを入れてきた。キャップをズラすと数字やアルファベットが刻印されていた。それは本部で鬼と対等に会話していた男が落として行ったモノだった。

不本意だけど子どもたちにそのペンを託したクローネ。

“絶対逃げろよクソガキ共！！”

クローネは最後に門の外に見える綺麗な空を見上げ、そして息絶えるのであったー



ーエマたちは下見の準備を開始する。レイがママを引きつけノーマンとエマが下見。ドンとギルダは万一の場合、エマとノーマンに下見中止の知らせをする係。

早速ママの元へ行くレイ。クローネの姿が見えないことに気づくレイに、ママはクローネを排除したことを告げる。レイは驚きクローネの部屋を開けるとそこはもぬけの殻。

「あなたもよ」

事情が変わり、ここからは自分1人で制御すると言うママ。

レイは部屋に閉じ込められる。ママは発信器のモニターをチェック、エマとノーマンが”下見”に向かっていることを確認。


外で待機するドンとギルダの前にママが現れる。レイから合図がないのにママが出てきたことに驚く２人。ドンはハウスへと走って戻る。

レイがドアを蹴破ろうとした瞬間、ドンがドアの鍵を開ける。そのままハウスの外へ出てママを追う２人。ギルダが声をかけると”下見強行、ママを止めるぞ！！”とドンは言い走って行く。

レイは走りながら考える。ママは”これからも”制御すると言っていた。つまり即出荷はない。でも恐らくこの先に待つのは直接支配、今を逃せばもう二度と下見のチャンスはない。


ー森の中を走り塀へと向かうエマとノーマン。その2人の前にママが現れる。状況が把握できない２人は焦りながらも平静を装う。

「10年一緒に暮らしたけれど お芝居抜きでお話するのはこれが初めてね」

ママはエマ達にも楽にするよう言う。今ここではただの飼育監と食用児。でもエマ達を我が子のように愛している、だから抗うことを諦めてほしいと告げるママ。

「決められた時間、最後まであなた達５人にも幸せになってほしいの」

お家で幸せに暮らそう、そう言って手を差し伸べるママ。エマとノーマンはその言葉から”即出荷”ではないことを察する。ママは”下見ごとき”で即出荷しない。それほど自分たちは特別で迂闊に摘めない”最高級品”。

負けない、ひるまない。

“外がどんな世界でも僕は生きたい　皆と一緒に”

ノーマンは塀の方へ向かって走り出す。エマはママに抱きつき足止めを試みる。

発信器のコンパクトを奪おうとするエマ。

バキッ

鈍い音にノーマンが後ろを振り返ると、エマの足がママによって折られていた。

叫ぶエマを抱きしめ「痛くない痛くない」と笑顔であやすママの姿に、愕然として立ち尽くすノーマン。

これでしばらく動けない、無事に明日を迎えられると言うママ。

レイ、ドン、ギルダの３人はやっとこちらへ辿り着いた瞬間、信じられない言葉を耳にする。

「本部から通達があった　おめでとうノーマン　あなたの出荷が決まったわ」