『約束のネバーランド』10巻【ネタバレ有】備え呼び込んだのなら戦え！VSバイヨン卿はどうなる！？

ノウマを仕留めたソーニャとサンディら。

残るはあと一匹、落ち着いて仕留めなければ。気を引き締める２人の前で、死んだノウマを抱え泣き叫ぶノウス。

その姿に２人は唖然としてしまう。

自分達の仲間はあんな嬉々として殺したくせに。同情なんてするものか、ためらったりするものか。

銃を構えなおすサンディの目に飛び込んできたのは、死んだノウマを頭から食べていくノウスの姿だった。

驚くも、顔を上げた瞬間を狙い木の上からポーラが狙撃する。すかさず弾を避けるノウス。放った弾丸により自分達が隠れていた場所がバレてしまう。

逃げるポーラとヴァイオレット目掛け槍を投げるノウス。それに気を取られてしまったソーニャの背後には、いつの間にかノウスが立っていたー


“ピィィィィ”

森に鳴り響く笛の音。敵を討った合図をジリアンが知らせていた。

バイヨンを相手にしているザックとペペに合流するため、走るジリアンとナイジェル。”15分”まで残り8分強、それまでにレウウィス以外の２組を潰しておかなければならない。

異様な空気を感じ後ろを振り返るナイジェル。”何か”が２人に近づいて来ていた。


ー街の中でレウウィスと対峙するエマ。テオへと託した伝言は聞いてくれたかと問うレウウィスに、ルーカスからも伝言を預かっていると返すエマ。

“僕の腕は美味しかったか？”

ルーカスが生きていた事に”感無量だ”と歓喜するレウウィス公。エマは伝言の続きを伝える。”今一度ゲームをしよう　あの日のように”と。

13年前、オジサンを逃がすため時間を稼いでいたルーカスに、レウウィス公はあるゲームを持ちかけていた。

当時を思い出したレウウィスは高々と笑い、ゲームを了承する。

みんなが来るまで足止めをする、計画通りだと確認するエマ。


一方、ナイジェルとジリアンの元にはバイヨンが来ていた。木の裏に隠れる２人。ザックとペペはどうしたのか、嫌な想像が脳裏をよぎる。

ザックはメンバーの中でも最古参の一人。救護担当だが、身体能力が高く逃げるのも武器の扱いも上手い。そして危ない役目を全て引き受けてくれるのもザックであった。

今回もバイヨンの相手をすると自ら名乗り出たザック。自分を含め、誰一人死なせないためだと言う。ペペが援護に入り、ナイジェルとジリアンもルーチェを倒したら援護に回る予定だった。

“なんでお前がここにいるんだよ！！バイヨン！！”

もっと早く自分達がルーチェを討っていれば、もっと早く駆けつけていれば、いや今すべきは反省ではない。今ここで自分がバイヨンを止めなければ。考えを巡らすナイジェル。

もしレウウィスと合流されて組まれたら計画の全てがダメになる。

手下は連れていない。しかしナイジェルとジリアンは特殊弾も専用銃も持っていなかった。


自分がここでバイヨンを止め、ジリアンにはザック達の元へ行き、２人と銃がどうなっているか確認して来るよう伝えるナイジェル。

2人が無事なら２人を助け、銃が無事ならオリバー達に届ける。現状、専用銃も弾も全て森側が持っている。オリバー達に銃を届け、計画のズレを伝える必要があった。

しかしナイジェルはどうやって1人でバイヨンを止めるのか。そう尋ねるジリアンに、考えがあるから大丈夫だと嘘をつくナイジェル。どんな手を使ってでも止める。今こそ自分が無茶をする時だと決心。

文字通り”死守”することを察するジリアン。3つ数えたらナイジェルが動き、ジリアンはその後に動く。

“１、２、３”

同時に走り出す２人。ナイジェルが驚き後ろを振り向くと、ジリアンが笛を吹いている。予定にはない吹き方で、オリバー達に”異変”を知らせるためだ。

見捨てるなんてできない、仲間を失うのはもうウンザリ。”死守”をするのは自分だ。

銃を構えバイヨン卿へと突き進んで行くジリアン。槍を振りかざすバイヨンだったが、ナイジェルが咄嗟に撃った銃弾で軌道を逸らされる。

「行け！！お前が”行く”んだよジリアン！！」

余計な情なんか圧し殺せ、計画を何より優先しろと怒鳴るナイジェル。

「あんただって今まさに私一人見殺しにできてないじゃない」

笑いながら返すジリアン。観念して一緒に戦おうと決心する２人。そんな２人にルーチェを殺したのは君達かと尋ねるバイヨンは、”素晴らしい”と２人を褒めたたえる。

わけが分からない２人に、自分の手下も殺されたことを告げるバイヨン。ザックとペペが倒していたようだ。

「実に見事”でした”」

そう言いながら槍を持ち上げるバイヨン。その切っ先は真っ赤に染まっていた。

青ざめる２人にバイヨンは、自分達の殺し方をどうやって知り得たのかを問う。何年もかけて手引きをしていた者がいる。その者こそがこの反乱の首謀者。

その言葉に、ルーカスを探しているのだと気づくナイジェル。狩場(かりにわ)の主として、
首謀者を狩って反乱を鎮めるのだ

踵を返し、逃げる２人。ルーカスと隠れている子供達を守らなければ。逃げるフリをして奴を遠ざけなければならない。

予備の罠場にバイヨンを連れ込もうと合図するナイジェル。次の瞬間、地面に倒れるジリアン。バイヨンが振るった槍を背中に受けたのだ。

大量の血が噴き出すジリアンを掴み持ち上げるバイヨン。

「この娘の命か首謀者の命か　どちらか選びなさい」

そんなの選べるか、焦るナイジェルに何かを伝えるジリアン。ルーカスは絶対に殺させてはダメ、自分を殺して。その言葉に”楽にしてやるからな”と銃を構えるナイジェル。

その瞬間、バイヨンの背後に誰かが煙幕玉を投げつける。辺りが煙に撒かれる中、ナイジェルは発砲。バイヨンは撃たれた拍子にジリアンを落としてしまう。

ナイジェルはその隙にジリアンを回収し、背負うと走り出した。その横にはもう１人の姿が。煙幕玉を投げたのはペペ、生きていたのだ。

バイヨンを討ち果たす策があると言うペペは２人を誘導する。

重傷のジリアンを背負って走るナイジェルとペペ。まずは安全な場所へ行き、ジリアンの手当てが何よりも先だ。

そんな３人を陰から様子見るバイヨン。

ペペが自分の背後から煙玉を投げてくること、負傷したジリアンを見捨てないこと、そして自分達の手が届かない安全な場所、つまり本拠地へ行く事。バイヨンは最初から全てを判っていた。

わざと泳がせて、首謀者の元へ案内させるつもりだったのだ。



レウウィスに”ゲーム”を持ちかけたエマ。

ー13年前

レウウィスはルーカスに”ゲームをしよう”と提案していた。バイヨンらがここに来るまで約15分。自分達”鬼”の殺し方を教えるから殺す策を考えてみろ、と告げるレウウィス公。

“目”が急所であり、奥の核を壊せば自分達は死ぬ。まずは10分で罠を仕掛けてみろ。新たな武器も与え、特別に面も外すと言う。

なんでそこまでするのかと警戒するルーカスに、”血湧き肉踊りたいのだ”と返すレウウィス。

「私を殺してみ給え」


ーレウウィスは13年前のゲームを思い出し高々と笑う。

15分のフェアな狩り。最初の10分、鬼(レウウィス公)は人間(エマ)を攻撃しない。

そうゲームを持ちかけたエマだが、目的は時間稼ぎだという事がバレていた。エマ一人では自分を殺せない。総攻撃を仕掛けてくる、つまりこれはそのための時間稼ぎ。

策を読まれていることに焦るエマ。しかし、計画がバレているにも関わらず、バイヨンは10分待つと言う。

当初の計画とは違うが、結果レウウィスは動かない。少し安心するエマにレウウィスは告げる。もし10分後、ここに君の仲間が誰も現れなかったらー

「その時は君一人で存分に楽しませてくれよ　エマ」



バイヨンは、ある木の前にいた。今し方、ナイジェル達がこの木の根本から幹の中へ降りて行ったのだ。本拠地へと続く道だ。

幹を斬り落とし、地下へと降りるバイヨン。そこには地下壕が広がっていた。歩き出したバイヨンが左の脇道に目を向けると、そこには目を光らせ待っていたオリバーとナイジェルの姿が。

“待ち伏せ！！”

そう気づいたと同時に右から現れたルーカスが、杖でバイヨンの足を突きバランスを崩す。

「今だ！！オリバー！ナイジェル！！」

引き金を引く２人。地下壕に銃声が響き渡る。


ー数刻前

バイヨンを相手に戦うザックとペペであったが、武器を使っても全くかなわない。

作戦変更、ここは自分一人に任せろと言うザック。ペペに専用銃と弾を持ってすぐにオリバーの元へ行くよう伝える。

この状況と”あいつの狙い”を知らせる、それだけでオリバーなら解る。それであいつを討ち果たせる。

「行け！！」

ザックの合図と共に走り出したペペ。オリバーとエマの元へ着き、専用銃と弾を渡す。自分は１人でも大丈夫だから行ってと言うエマ。オリバーとペペは走り出す。

オリバーは地下壕へと赴き、ルーカスの元へ。ペペはジリアンが鳴らした笛の音をたよりに２人の元へ。


風車下の抜け穴は森の５つの出入口と繋がっている。敵に知られてはいけない。守らなくてはいけない。でも備え、”呼び込んだ”ならー

オリバーの放った弾丸がバイヨンの面を砕く。すかさず面の取れた顔に向かって何発も撃ち込むナイジェル。



ー約1000年前
“約束”によって、人間を狩ることができなくなった鬼達。その代わり、農園をつくり人間を養殖して収穫をすることが決定。貴族のバイヨン卿はその任を担うことに。

ー約800年前
バイヨンは12箇所もの農園の責任者になっていた。血が騒いだりしないのか、と尋ねるレウウィス公。しかし”約束”は世界間の協定。守らなければならない。

ー約500年前
食事をとるバイヨン。

“味がしない・・・”

来る日も来る日も瓶に詰まった寒々しい”死んだ肉”。来る日も来る日も来る日もー

ー200年前
バイヨンは自邸の庭で生きた人間を狩っていた。農園から生きたまま人間を出荷させ、狩り”もどき”を始めていたのだ。

食事をとるバイヨンは、久しぶりに”味がする”と感動していた。

そう思いたかっただけかもしれない。でも”自分は今活きた命を食べている”。

最初は三月に一匹、次第に月に一匹、二匹・・・三匹・・・歯止めが効かなくなっていく。

ー15年前
「折り入ってお話が」

バイヨンに声をかけるピーター・ラートリー。どこからか自分の”秘密の遊び”が漏れていたのだ。それからはラートリーから譲り受けた狩場(かりにわ)で狩りを楽しむバイヨン。


もどきでいい。昔のようにあの頃のように、なんてそんな欲は抱かない。だが必要なのだ、救われたのだ。この秘密の遊び場に。

“ここは私の狩場(かりにわ)だ”


ー目を撃たれたはずのバイヨンは立ち上がり、狂ったように笑いだす。

ナイジェルに向かって槍で攻撃を仕掛けたバイヨン。ナイジェルは間一髪、避けるも蹴り飛ばされるオリバー。

体勢を整えナイジェルとオリバーは銃を連射するも、バイヨンは倒れない。走り出すバイヨン、向かう先はルーカスの元だ。


もっと楽しめばよかった。ようやく”狩り”ができたのに。

“せめて最期にお前の命はもらうぞ！！”

銃を構えるルーカス、そして槍を向けるバイヨン。しかしオリバーは気づく。槍はフェイクで、左手の鋭い爪でルーカスを仕留めようとしていた。

響く銃声。ルーカスが放った弾丸は見事バイヨンの目にヒット。バイヨンは崩れ落ちていく。

ルーカスに怪我はないか尋ねるオリバーは、いつの間にかバイヨンとルーカスの間に立っていた。オリバーの体に目線を向けるナイジェル。そこにはバイヨン卿の左手が食い込んでいたー


地下壕から出て笛を吹くペペ。みんなにバイヨンを討ち果たしたことを伝え、ザックの元へと急ぐ。

オリバーに声をかけ続けるルーカス。腹に刺さったバイヨンの手を取り出す為、手術を行うことに。その横では応急処置を受けたジリアンが目を覚ましていた。

バイヨンを斃(たお)したことを伝えるナイジェル。申し訳なさそうな表情をするジリアンに、ルーカスは労いの言葉をかける。ナイジェルはエマと合流する為、そのまま地下壕を出る。

しかし圧倒的に戦力が足りなかった。本来の計画では、３組の鬼を討った後に全員でレウウィスを討つ算段であったが、オリバーとジリアンそして恐らくザックも戦闘不能、ペペも右腕が動いていない。

最悪のシナリオは、ノウスノウマが健在でサンディ達が全滅。レウウィスとノウスノウマにエマとナイジェルだけで挑ませなければならない場合だ。”あれ”は最後の手段、どうすれば、何か策はないのかと考えるルーカス。



一方、森では、ボロボロになったサンディをノウスが掴み持ち上げていた。その周りには血を出して倒れているソーニャとポーラの姿も。木の陰に隠れるも動揺するヴァイオレット。

ー数刻前

居場所がバレたポーラとヴァイオレットは逃げ出すも、ノウスが放った槍がポーラに直撃。ソーニャも仕留められ、助けようとしたサンディは捕まり顔の原型が分からないくらい殴られる。

「まだ一匹隠れてるわノウス」　「ああ・・・わかってるよノウマ」

一人なのにノウマと喋っているようなノウス。ノウマを食べたことで”取り込んだ”？と様子を伺うヴァイオレット。その間にサンディはさらに傷つけられていく。


何とかしなくちゃ、でも一体どうすれば、考えるヴァイオレットの肩を誰かが叩く。振り返るとそこにはエマの姿がー

“え？エマ？”

不思議に思ったヴァイオレットが再度見直すと、そこにはレイの姿が。横にはオジサンもいる。

「どうなってる？手短に状況を説明しろ」

レイの姿を見て、狩場(かりにわ)の子供ではないことに気づくヴァイオレット。

この服はエマも着ていた。オジサンの手袋はルーカスのと同じ。ヴァイオレットは気づく。この二人もしかしてー


ナイジェルはエマの元へと急ぐ。地下壕から出て、風車の建物の中へ。入口を守るアダムにナイジェルは扉を開けるよう伝える。



状況を聞くレイに、人間達(オレたち)の反乱だと説明するヴァイオレット。ルーカスが13年かけた計画を決行。その名前に驚くオジサン。

自分達も一匹は殺したが、今すぐにでもあいつを殺さないとー

「エマがルーカスがオレ達が全員がヤバい」

ヴァイオレットの端折った説明で状況を理解したレイ。ヴァイオレットが咄嗟に言葉を選んでいること、そこに意味のない情報はないこと、エマの知り合いだということ、全てを短い会話から汲み取ったのだ。

ガキ共は下がってろと言い銃を構えるオジサン。ノウスはブチギレまるで獣のよう。普通に撃っても気づかれてしまう。

姿だけでなく全て隠さなければいけない。気配も”何もかも”ー


サンディを痛めつけるノウス。その顔面を狙い、静かに銃を放つオジサン。一発の銃声が鳴ったと同時に、ノウスは崩れ落ち絶命する。

「狙撃ってのはこうやるんだ」

で、あいつどこだよ、とエマの居場所を聞くオジサンは、ヴァイオレットの返答に表情が固まるー



レウウィスと対峙するエマ。間もなく約束の10分が経とうとしていた。

エマの仲間は一人も現れていない。しかしレウウィスの仲間も誰一人現れていなかった。皆既にこの世にいないことを、笛の音の回数から察していたレウウィス。実にあっぱれだと人間達を褒めたたえる。

「だからあとは”何人残るか”」

みんな死んでこのまま君一人かな？と問うレウウィス。

実はナイジェルだけ既に来ていた。

しかしナイジェルが現在いる建物２階の窓際、そこは本来オリバーの位置。他のみんなも配置についていない。サンディ達も笛は鳴ったが無事でいるとは限らない。

想定すべきは”最悪の状況”だった。


無理でもやる、密猟場(かりにわ)を終わらせる。ミネルヴァさんが遺してくれたものをシェルターのみんなの元へ持ち帰る。叶えたい未来があるー

“私は死ねない　誰一人殺させもしない”

そう決意するエマの頭にオジサンの言葉がよぎる。

“自分の理想が判断が仲間を殺す”


口を開いたエマは、殺す以外に戦わない道はないのかとレウウィスに問う。

遊びのために殺すのはゆるせない、でも自分だって狩りをする。でもこれ以上もう一人も殺されたくない。でも自分はレウウィスを殺したいわけじゃない。

戦わずに終わりにできたらこの先仲間を失わずに済むし、”あなたも死なずに済む”。

そんなエマの言葉に、戦意を失ったわけではないのかと安心するレウウィス。戦う以外で納得する方法はなかった。

「我々は争うしかないのだよ」

レウウィスの言葉に銃を構えるエマ。約束の10分になろうとしていた。

始めようか、レウウィスの言葉と同時にエマが左手に持っていたスイッチを押すと、レウウィスめがけてたくさんの銃弾が放たれる。建物内に無人の武器を仕掛けていたのだ。



ー地下壕へと辿り着いたヴァイオレット。目に飛び込んできたのはオリバーとジリアン、そしてザックの痛々しい姿だった。救護にあたるペペは、かろうじで息はあるがヤバイと告げる。

サンディ達もやられている。ヴァイオレットは全員に声をかけ、何人かが救護へと向かい、ペペはエマとナイジェルの元へ急ぐ。

地下壕から風車の建物へと出たペペ。扉を開けるよう声をかけると、そこにアダムの姿はなかったー



「少しくらったか」

大量の弾丸を手で止めたレウウィス。

建物の陰に隠れるエマの元へ、ペペが到着。作戦通り面を壊す算段だ。しかしそこまでは既に判っているレウウィス。問題は”どんな策”でくるのか。

エマ達がレウウィスに策をきめるのが先か、それともレウウィスが策を暴き、エマ達を見つけ狩り殺すのが先かー


レウウィスの面を壊すのは容易くない。速くそして先を読む。だからまずは動きを止めなければならない。そしてこの”村”にはレウウィスの動きを止める術があった。

まずは動きを止めて罠を張り、次にそこへ誘い込む。そして最後に狙撃をする。

本来であれば10人全員での計画を、わずか３人でやる必要があった。

エマは建物内へと身を隠し、レウウィスを誘い込もうとする。しかしレウウィスが現れたのはペペが隠れていた場所だった。エマが”誘導”だと気づいていたのだ。

ここでエマが出て来ればエマを殺す。出て来なければそのままペペとナイジェルを殺す。どちらにせよ為す術がない。作戦自体が無効化してしまうー

建物の陰から飛び出たペペは、レウウィスを狙撃。地面に当たった銃弾が水道管に命中し、辺りは水浸しに。

狙撃は失敗、走って逃げるペペを追うレウウィス。


やっぱり３人ではムリだった、全部読まれてしまうー

「エマの言った通りだぜ」

振り返り不敵に笑うペペ。レウウィスの背後にはエマが迫っていた。切断した電線を地面の水たまりに投げ落とすエマ。

バチッ

不意を突かれたレウウィスの体に強烈な電気が走る。

こちらの狙いや用意した作戦、レウウィスは全てを読んでくる。読んで作戦そのものを崩しにかかると予想したエマは、それを利用したのだ。

電流によって動けないレウウィス、狙うなら今だ。弾は一発、予備はなし。ナイジェルは銃を構え、レウウィスへと弾丸を放つ。

それを左手だけで防ぐレウウィス。驚くナイジェルはエマが危ないことに気づく。

レウウィスの右手がエマへと伸びる。

“まずいエマ！！”

その瞬間、レウウィスの顔面へと何かが命中。エマが視線を上げると、そこにはレイとオジサンの姿があった。